新卒の人が転職する場合は「第二新卒」として扱われますが、第二新卒の転職事情はどうなのでしょうか。
転職市場での第二新卒の価値は、どれほどあるのでしょうか。
- 第二新卒の転職って実際どうなの?
- 第二新卒の市場価値はどれくらい?
実際、第二新卒の採用状況は増え続け、企業にとっても新卒で転職を考える人にもかなり可能性は広がっていると言えます。
ここでは、第二新卒の市場価値や転職事情とその背景について解説していきます。
そもそも第二新卒とは?
「第二新卒」という言葉は実は定義があいまいで、企業の人事担当者によって捉え方が違います。
一般的には、「25歳以下」もしくは「社会人3年以内」など新卒で入社して3年以内の人を指し、1〜2年半ほどで転職しようかなと動き始める、第二の新卒者たちを言います。
転職市場でも第二新卒は人気があり、さらに人手不足が追い風となったことで、2023年現在でも引く手あまたの存在です。
第二新卒の転職市場が最も活発であり、辞める人が多い分、人手不足な企業も多いことが要因として挙げられます。
そのため転職市場での価値も高く、積極的に取り入れようという企業も年々増えている現状です。
第二新卒の採用状況
気になる第二新卒の採用状況ですが、入社3年以内で辞める人が多いため、逆に第二新卒をほしがる企業も多いというのが現状です。
上記の図は、「マイナビ転職」が調べた第二新卒に対する企業の採用見通しですが、約6割以上の企業が採用には積極的であることがわかっています。
また、マイナビに登録している企業の80%以上が「第二新卒歓迎」としており、第二新卒者は転職しやすい傾向にあります。
企業によって事情は違いますが、採用に消極的な企業もあるのは、求める枠組みが即戦力となる人材や専門的な経験者などであるためです。
ずっと人を取らない企業もあるため、残りすべてが消極的とも限りません。
私が第二新卒として転職活動をしていたときも、いろいろな企業を見てきましたが割と第二新卒を歓迎しているところは多かった印象があります。
大手でも人柄やポテンシャルがマッチすれば採用する傾向は強いでしょう。
第二新卒の価値とは?転職市場で人気の理由!
社会人としての基礎ができている
たとえ1年でも会社で働いていた経験があれば、「報・連・相ができる」「ビジネスマナーを身につけている」「嫌な仕事でもきちんと取り組む」といった、社会人としての最低限のあり方が身についているとみなされる場合が多いです。
新卒で入社した場合、入社後は新人研修やビジネスマナーなどを学ぶことが多いですよね。
また、社会に身を置くことで学生との違いを知り、社会人としての人格を形成し始めます。例え入社1年目でも社会人というものを身をもって知り、基礎が身についているので、仕事内容から教えやすいのです。
新人を学生から育てるとなると、基本的な態度やあり方から教えなければならないため、膨大なコストと時間がかかります。
しかし、基本的なことが身についていればその分コストは減りますし、育てやすくなるというメリットが企業側にはあるのです。
また、第二新卒者は社会人の基礎や心構えがあり、「今度こそ頑張ろう」という人が多いため非常に育てやすい。
ただし、第二新卒の価値はある程度の社会的基礎があることが前提なので、ビジネスマナーをしっかり身につけておきましょう。
別会社の色に染まりすぎていない
そして、第二新卒が転職市場で人気の理由は、3年以内であれば以前の会社に染まりきっておらず、次の会社の色に「染め直す」余地があるからです。
同じ会社で働くうちに、人は誰しもその企業の文化や仕事のやり方に染まってしまいます。長く勤めて染まりすぎた人は、新しい職場に馴染みにくくなってしまいます。
例えて言うなら、「色」は業種や会社によって違うため、第二新卒の染まりきっていない人材は非常に育てやすく重宝されるのです。
ただし、あくまでやる気や働く意欲のある場合に限られます。
やる気のない人は、たとえ第二新卒の価値があってもその価値を見いだすことはできないので、肝に命じておきましょう。
第二新卒の採用基準
第二新卒者が採用されるために、企業が求めるポイントを理解しておかなければなりません。
企業が第二新卒に求めることは、「第二新卒の転職事情」でも書いていますが、技術や経験はないので「人物重視」で採用します。つまりは「人柄」や「ポテンシャル」です。
企業も同じことを繰り返してほしくはないですから、他の企業で失敗してしまっても、当社ではきちんと育ってほしいという思いはどこにでもあります。そのため人物での採用を重視し、「入社意識の高さ」や「当社に合っているか」などを求めているのです。
転職したい理由を明確にし、採用する企業がどんな人物を求めているのかをしっかり研究することが大切。第二新卒にスキルや経験を求めてはいません。
きちんと御社で働きたいという意志を示すことが大切です。
新卒で入社したあなたが本当に転職をしたいのなら、次は「必ず頑張る」という意志をしっかり持ってください。
中途採用の転職市場でも「人物重視」で採用される第二新卒はハードルが低いため、チャンスかもしれませんよ。
第二新卒の市場価値を下げないポイント!
第二新卒に価値を見出す企業が増えてくる一方で、「使えない」と烙印を押される人も少なくありません。
別記事の「”使えない”と思われる第二新卒の特徴!採用されるための対策とは?」でも詳しく解説していますが、使えない第二新卒には以下のような特徴があります。
- 社会的意識もビジネスマナーもない
- 転職する動機が不明確でやる気がない
- なんでも会社や周りのせいにする
第二新卒の価値とも言える「ある程度の社会的常識」がない人は、”社会人としての意識”が足りず、学生気分が抜けない使えない人材と思われてしまいます。
また、どんな理由で退職していたとしても、次に対する目標や熱意がなかったり、素直に自分の過ちを認めようとしない人は採用されにくいでしょう。
第二新卒に必要なのは、上記のようなマイナス要因を作らないことと、きちんと”意志”を持って転職活動を行うことです。
第二新卒の転職をより確実にするために必要なこと
第二新卒が採用されるポイントは「意志をしっかり示す」「企業が求める人物像を把握する」の2点です。
つまり、「自己分析」と「情報収集」です。
自己分析はしっかりと!
第二新卒の転職において、「自己分析」がもっとも大切です。
キャリアやスキルが少ない新卒では、ライバルとの差をつけずらいため、いかに自分が応募した求人企業とマッチしているか、どんな活躍が期待できるかになります。
そのためには、まずは己をよく知ることが第一歩です。
自分がどうして転職をしたいのか、どんなところで働きたいのか、将来どんな風になりたいのか、しっかり自分と向き合うことから始めてください。
一人では見つけられないこともあるので、そんなときは周りの人や転職のプロに相談するのも手です。利用できるものは何でも利用しましょう。
また、新卒の転職では自分のやりたいことや進むべき道がわからず、そのままフリーターやニートになる可能性が高いため、自己分析で転職したい理由をはっきりさせておきましょう。
業界や企業研究は徹底的に行う!
自己分析と同様に、転職したい企業や業界を知ることも重要です。
「なぜこの業界に?」「志望動機は?」と聞かれた際には、業界や企業を知らずして話せることなど何もありません。
第二新卒は即戦力となり得るキャリアはないので、それを補える「やる気」をアピールすることが転職成功のカギになるからです。
そして企業の情報は、早いうちから集られるだけ集めましょう。一度社会に出ている第二新卒なら、企業のどんなところを見ればいいのか、何を重視すればいいのかわかっているはずです。
採用される可能性も、採用された後のことも、ミスマッチを避けるのはいかに企業情報を集められるかです。
一人で調べても限界はありますので、転職サイトや転職エージェントは必ず利用した方がよいです。採用企業を扱っているので内情も詳しいですし、新しい発見も出てくるかもしれませんよ。
面接はあらゆる場面の想定と練習が大事!
転職活動のメインとなる面接では、第二新卒の場合はある程度聞かれることが決まっていますが、もっとも難しい質問であり、早期退職した場合は相手を納得させるための理由が必要になります。
そのための「自己分析」と「企業研究」ですが、採用担当によって他にもあらゆる質問が来ることが想定されますね。
キャリアやスキルに自信がない新卒は、どうしても面接で縮こまってしまう傾向にあるため、どんな質問にも答えられる準備と練習がとても大切です。
関連記事:第二新卒の面接で聞かれることは?僕が実際に受けた質問と答え方!
なお、面接の練習や対策は、転職エージェントに登録しておけば無料でサポートしてくれます。
一人で行うよりも実際に見てもらった方がよいので、利用することをおすすめします。
第二新卒の市場価値は高いが、それなりに覚悟は必要。
第二新卒の転職事情はまだまだ明るいですが、そこに甘えて意味のない転職は返って逆効果になります。
同じ状況になればすぐに退職する癖がつきますし、転職頻度が多いと「会社に馴染めない、続かない人」と思われてしまいます。また、転職に失敗しフリーターやニートになる第二新卒の人もいます。
そうならないためにも、第二新卒の転職事情をよく理解し、自分の中にきちんと軸を持つことが重要です。
転職で不安な新卒は、第二新卒の転職を専門にする転職エージェントもあるので、相談してみるとよいですよ。
転職市場でも人気があるとはいえ、3年以内で辞めた人に対してやや厳しい目を向ける人も多いので、覚悟を持って転職に臨みましょう。